私は、デイケア(正式名称:通所リハビリテーション)に5年勤めた経験があります。
デイケアは、通ってリハビリをする場所という、なんとなくのイメージは持っていると思いますが、実際にどんな仕事を作業療法士が担っているのか、気になりますよね?
デイケアは、介護士や看護師などさまざまな職種とのチームワークで過ごしています。

そのため、デイケアでは、リハビリ以外のことも担い、デイケア全体を回していきます。
規模にもよりますが、職員数が少ない職場も多く、その分馴染みやすく、自分の居場所も作りやすい印象です。
今回は、デイケアの作業療法士の仕事内容や魅力、ポイントなどをお伝えします。
- 通所リハビリテーションが気になる方
- 転職を考えている方
- 作業療法士の仕事が気になる方
デイケアの作業療法士の仕事内容


デイケアの1日の流れ
まずは、デイケアの一日の流れをご紹介します。
8:30 リハビリ職員・介護職員・看護師で利用者を各家庭に迎えにいく
9:20 デイケアに到着
到着した方から
- バイタル(体温、血圧、SPO2)の計測
- 体調の確認
- 水分補給(お茶)
9:45 リハビリ・入浴・レクレーションに分かれて、それぞれ活動開始
11:30 職員は、3グループに分かれて休憩に入る
①11:30〜12:30 リハビリや入浴を他の職員に任せて、早めにお昼休憩へ
お昼休憩後、午前のみ利用する短時間利用者を送り、午後の短時間利用者を迎えにいく。
②リハビリや入浴の片づけを他の職員に任せ、昼食の配膳をし、食事介助をする。③の職員が来たら、お昼休憩に入る。だいたい12:30〜13:30頃。
③リハビリや入浴の片づけをして、利用者のお昼休憩の布団を準備する。②の担当の食事介助を代わり、②の職員のお昼休憩が終わり次第、交代でお昼休憩に入る。だいたい13:30〜14:30頃。そのため、午後のリハビリやレクリエーションは、少し遅れて入る。
11:45 口腔体操
12:00 利用者の昼食時間 人によってはポジショニングや食事介助を行う
12:30 午前の短時間利用者が帰宅
13:00 1日利用者の休憩時間
13:20 午後の短時間利用者が到着
到着しだい、
- バイタル(体温、血圧、SPO2)の計測
- 体調の確認
- 水分補給(お茶)
14:00 午後の短時間利用者はリハビリ、1日利用はレクリエーション開始
15:30 リハビリ終了
- 1日利用者:おやつ時間
- 午後利用者:水分補給
16:00 帰宅準備
16:30 1日利用者、午後の短時間利用者の送り
1人の職員が残り、掃除や実績入力をする
17:00 デイケアに戻り、記録など書類整理を行う。
17:30 退勤
私が勤めていた通所リハビリテーションは、小さな規模の通所でした。
1日の定員は、1日利用(6〜8時間利用)が10人、短時間利用(3〜4時間利用)が午前5人、午後5人でした。
そのため職員は、リハビリ職員2人、看護師2人(入れ替わり)、介護士3人と合計7人の少人数でした。



営業日は月〜土曜までの週6日、週休2日の勤務でした。
そのため、入れ替わりで職員が休みをとるシフトとなり、毎日職員の1人が休みという勤務体制でした。
職員の人数が少ない分、送迎、食事の配膳なども含めてリハビリ職員も介護職員も関係なく、担います。
また、リハビリ職員が休みの場合は、介護士や看護師がお手伝いし、介護士や看護師が休みの場合は、入浴やレクリエーションを手伝いも。



意外とリハビリ以外の仕事をするのも楽しかったですし、利用者の新たな一面を発見することができます。
リハビリ職員や介護士、看護師が補い合って、デイケアを回していたため、コミュニケーションは取りやすく、アットホームで自分の居場所が作りやすい職場でした。



では続いて、実際に作業療法士がどのような動きをするのか見ていきましょう!
通所リハビリテーションの作業療法士の動き
8:30 各家庭に迎えにいく。
その際、住宅状況や体調、確認しておきたい家のものなどを見せてもらいます。
9:20 デイケアに到着する。
①水分補給(お茶)の準備やバイタル測定、②リハビリの準備に分かれる。
リハビリの準備は、階段やプラットホーム、エルゴメーター、低周波電気療法、重錘、セラバンド、機械など、利用者がそれぞれリハビリを始める場所に、あらかじめ準備しておきます。
9:45 リハビリを開始する
基本的に自主練習中心のメニューを、1人1人紙面に作成します。
1人で運動メニューを見て進められる方は、自分のペースで進めてもらい、一人では難しい方は、声がけをしながらリハビリを行います。
リハビリの場所が重なってしまうこともあるので、運動の順番もある程度指定して伝えます。



1人1人紙面でのメニュー作成は、少し大変ですが、一目で今どの運動をやるべきかわかることは、自主運動を促しやすく、他職種からのお手伝いも受けやすいので、とても良かったです。
だいたい10人程がリハビリ室内で運動するので、それぞれの利用者の動きを把握しながら、声がけや運動の促しをしていきます。
お昼休憩は、先程も紹介した通り、3グループに別れます。
リハビリ職員が2人の時は、②11:30〜12:30と③13:30〜14:30で休憩し、一人の際は②で休憩します。
ちなみに、職員の中では、③13:30〜14:30までの時間が人気であり、後からゆっくりしたいという方が多かったです。
14:00 午後の短時間利用者のリハビリ開始。
午前同様、メニューを見ながらリハビリを進めていきます。
午後の短時間利用者は、どちらかというと認知面がしっかりした男性が多い印象でした。
それに対し、午前の短時間利用者は、認知面がしっかりした女性が多い印象です。
いずれにしても、短時間利用者は、入浴の利用もなく、リハビリへの意欲も高いため、時間の限り運動をしていました。
1日利用者は、家族の休息も兼ねての利用の場合もあるため、ゆったりしたペースで利用されている方が多い印象です。
それぞれ、利用目的に合わせて、1日を過ごしていきます。
15:30 リハビリ終了
リハビリが終了し、16:30の帰宅時間までに、リハビリの記録と帰りの準備を行います。
だいたい日々の記録は、この時間で記載できます。
16:30 利用者を送り、その日の様子を家族に伝える。
1人残った職員(全体の職員から1名)が全体の掃除、その日の実績入力を行う。
17:00 デイケアに戻り、計画書、運動メニューなどの記録を作成していく。
たいていの日が、残業することなく、退勤できていました。
日々コツコツと作成していくことが大切ですが。
デイケアの作成書類
次に、デイケアでの作成書類について見ていきましょう。
フェイスシート(開始時に作成するため、1回作成すれば終了)
計画書(訪問開始時と月末)
報告書(月末)
サマリー(入院やレスパイト)
担当者会議の報告書(担当者会議開催後)
訪問看護ステーションと作成書類は同じですが、フェイスシートや担当者会議の報告書はどの職種が作成しても構いません。
また、計画書や報告書、サマリーは、リハビリ職員の2人で分けて作成します。
リハビリ職員で分けるので、人数自体は多いものの、利用時間が明確に決まっているため、17:00から退勤までの時間でコツコツ作成することができます。
ただし、パソコンの台数が限られているので、譲り合っての作成が必要でした。



全体での動きは、ある程度固定されているので、動きさえ覚えてしまえば、仕事としてはとても馴染みやすかったです。
デイケアで仕事をする魅力


在宅で生活をしながら、機械などを使用したリハビリができる
デイケアを利用する方は、在宅で生活をしているため、自分の生活イメージがしやすい状況です。
そのため、目標が明確になった状態で、機械や物品などが揃った家ではできないリハビリができることがデイケアの魅力の一つです。
訪問では、家に持参できる物品のみとなり、器具が限られてしまいます。
病院では、作業療法士や患者が自宅での生活をイメージして、リハビリを行います。
デイケアでは、訪問と病院のどちら良いとこ取りをしてリハビリができるという魅力があります。
現在の生活の維持を目的として利用している方も多くいます。



そのため、利用者がゆったりと穏やかな方が多い印象に思います。
その日の予定が組みやすい
車の乗車人数が決まっているので、1日の利用人数がほぼ決まっており、減ることはあっても増えることはほとんどありません。
そのため、予定が組みやすいです。
人数が減った際は、書類(計画書や報告書、運動メニュー)の作成をしています。



その分、残業があまりありませんでした。
介護士や看護師などお互いにフォローできるため、休みやすい
介護士や看護師、リハビリ職員でそれぞれフォローしていくので、休みやすい職場でした。
子どもが風邪をひき、ちょこちょこ熱を出した時や1週間も入院した際も、快く休ませてもらいました。



その時も、介護士や看護師にお手伝いしてもらい、いつも通りに過ごすことができたと聞いています。
また、介護士が休んだ際は、リハビリ職員が入浴介助の手伝いをします。
入浴介助では、いつも見ない利用者の姿に立ち会うことができ、新たな発見をします。



入浴や更衣動作で、意外とこんな動作が苦手だったのかと発見します。
リハビリの部屋では見せない姿に対し、ちょっとしたアドバイスで、利用者や職員も楽にできるものです。
それは、また逆もあり、介護士や看護師がお手伝いしてもらった際も、新たな発見で、リハビリがスムーズにいくこともあります。
デイケアは、チームワークですね!
デイケアで仕事をするポイント


職種で役割を分けるわけではなく、職員全員でデイケアを回していく
先ほどからも話しているように、デイケアはチームワークです。
そのため、職種で役割を分けるのではなく、職員全体でデイケアを回していくという気持ちが大切です。
同じサービスを提供するにしても、職種で感じ方が異なるので、新たな見方ができて面白いものです。
チームワークなので、コミュニケーションが重要となります。
全体を見る力が必要
デイケアは、集団行動となるため、全体の動きを見ることが大切となります。
リハビリでは、
- 狙った運動ができているか
- 全員が休憩時間以外、退屈することなく運動できているか
- 時間配分は大丈夫か
など全体の流れを見る必要があります。
また、利用時間を過ごす中で、
- 困っている利用者はいないか
- せっかく来ているのだから、楽しめているか
など、介護士や看護師、リハビリ職が協力して1日を過ごします。
もちろん、最初からできたわけではなく、デイケアでの勤務経験を積んでいくうちに、鍛えられました。
この全体を見る力は、その後勤めた訪問看護ステーションでの時間配分や職員の動きの把握、はたまた子育てでも十分生かされている気がします。



一度経験してみると、その後の仕事や家庭で活かせます!
まとめ
デイケアは、他職種との集団行動であり、利用者の人数も多いため、話好きな人は、とても合っている職場だと思います。
- 在宅で生活をしながら、機械などを使用したリハビリができる
- その日の予定が組みやすい
- 介護士や看護師などお互いにフォローできるため、休みやすい
比較的休みが取りやすい職場なので、ワークライフバランスを求める方は、ぜひ検討してみる価値があると思いますよ。
- 職種で役割を分けるわけではなく、職員全員で、デイケアを回していく
- 全体を見る目を養う
このデイケアで働くためのポイントは、最初からできるわけではなく、働いていくうちに身についていきます。
この身についたポイントは、今後デイケアで働いていく上はもちろんのこと、作業療法士としても、家事や育児をしていく上でも十分役に立ちます。
ぜひ、興味を持った方は、経験してみてくださいね。


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