
私は、訪問看護ステーションに非常勤で勤務し、現在7年目です。
訪問看護ステーションに勤務する前は、病院や特別養護老人ホーム、デイケアに勤務していました。
分野が変わると、1日の流れや仕事の内容も変わります。
自分が働いたことがない分野では、なんとなくの仕事の内容などは知っていても、実際はどんな働きをするのか、気になりますよね。
今回は、訪問看護ステーションでの作業療法士の実態をお伝えします。



もしかすると、訪問看護ステーションの方が自分に合っているかもしれませんよ。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
- 訪問看護ステーションの仕事が気になる方
- 転職を考えている方
- 作業療法士の仕事が気になる方
訪問看護ステーションの1日の仕事内容


訪問看護ステーションの作業療法士の1日の流れ
私は、8:30〜12:30の半日勤務の非常勤なので、まずは自分の勤務内容からお伝えします。
私の勤務時間で、訪問を詰め込むと、だいたい3件が上限です。
たいていの1日の流れは、こんな感じです。
- リハビリ時間は、40分〜1時間です。
そのため、リハビリ時間は、一例となります。
8:30 朝礼(10分程度)
訪問開始は、通常9時となるため、移動時間を計算して事務所を出発
9:00 1件目 リハビリ開始(40分)
9:40 2件目のお宅に移動
10:00 2件目 リハビリ開始(1時間)
11:00 3件目のお宅へ移動
11:20 3件目 リハビリ開始(40分)
12:00 3件目のお宅を終了し、事務所へ移動
12:20 事務所に戻り、書類作成などを行う
12:30 退社
リハビリの時間は、本人の希望によって変わります。
また、訪問の開始時間も他のサービスやご利用者様やご家族の予定によっても若干ずれるので、いつもこのようにキレイにスケジュールが組めるわけではありません。
そのため、1日に2件のこともあります。
その空き時間で、書類を作成したり、トイレに行ったりします。



どのような書類を作成するかは、後ほど書きますね。
トイレは、だいたいスーパーやコンビニのトイレを使用します。
その際、ちょっと買い物もせずにお店をでるのは…と、かこつけて、少し買い物をする時もあります。



一人で訪問している気楽さが、ここにあります。
たいてい曜日や時間が固定されるので、訪問を開始すると2〜3ヶ月程度が、同じスケジュールです。
ただし、ショートステイを利用している利用者様は、あらかじめ何週目が休みと決まっており、その時間はお休みとなり、書類整理をします。



私が勤めている事業所は時給制なので、ショートステイや入院により件数が少なくても、給料が減るわけではないので、ホッとしています。
しかし、事業所によっては、訪問件数や点数によって給料を決める職場も多いようで、ショートステイ一つでも給料に響く場合もあるようです。



自分が決めた休みではないのに、減給するのはおそろしい…。でも、件数が増えるとかなりの昇給になるらしいです…
だいたいこんな日程で過ごしており、空き時間に計画的に書類作成できるので、基本的に残業はありません。
しかし、雪道や交通渋滞などの際は、若干帰りが遅くなります。
また、急な入院やレスパイトなどの際も、サマリーの作成が必要となるため、残業することがあります。
1日勤務の場合は、午前を同様に過ごし、午後の予定は、こちらです。
- こちらのリハビリ時間も、一例となります。
ご本人希望のリハビリ時間となるため、40分or1時間のどちらかになります。
12:00 お昼休憩
12:45 次の訪問場所へ移動
13:00 4件目 リハビリ開始(1時間)
14:00 5件目のお宅に移動
14:20 5件目 リハビリ開始(40分)
15:00 6件目のお宅へ移動
15:20 6件目 リハビリ開始(40分)
16:00 7件目のお宅へ移動
16:20 7件目 リハビリ開始(40分)
17:00 7件目のリハビリを終え、事務所に移動
17:15 事務所に戻り、退社
1日勤務の場合、上限は7件のようです。
半日勤務の場合同様、全てこちらの都合通りにスケジュールが組める訳ではありません。
なので、基本的に空き時間で書類整理ができており、1日勤務でも残業はほぼないと聞いています。
お昼ご飯は、お弁当を持ってきて事務所や車で食べる人もいれば、外食をしている人もいるようです。
訪問では、さまざまな場所に行くので、外食の楽しみもあるようです。



私は、半日勤務なので、その楽しみはないですが…。
結構、みんな自由に働いている印象です。
リハビリスタッフは、距離が取れるせいか、特に揉め事は起こらないです。
ただ、スタッフ同士が会える時間が朝もしくは帰りの短時間となるので、話す時間があまりないというところが、難点です。



そのため、職場の携帯のグループLINEや個人LINEでこまめに連絡するようにしています。
また、書類整理などで会う時は、なるべく話すようにしています。
自分のペースで働きたいという方には、合っている仕事だと思います。
細かい仕事内容は、次にお伝えしますね。
訪問時の作業療法士の動き
訪問したら、まずは
バイタル
- 体温
- 血圧
- 脈拍
- SPO2
を測り、必要に応じて肺音、皮膚状態を観察します。
ここで、ご利用者様やご家族に訪問前までどのように過ごしていたのか、
- 食事
- 内服状況
- 排泄
- 睡眠
- 体調面
も含めてを伺います。
ご家族も疾患持ちであったり、介護に不安がある方は、ご家族の体調や介護状況なども傾聴します。
ここでしっかり傾聴できるかで、信頼関係が変わってきます。
私が学生時代に「OTは、おしゃべりセラピストだよ。」とバイザーに言われました。



その当時は、そこまで重要性を理解していませんでした。
経験年数が10年を過ぎた頃からやっと理解できた気がします。
話をすることで、情報収集&信頼関係を築くことができます。



この情報収集と信頼関係ができると、本人や家族の現状やニーズを的確に捉えることができ、リハビリも意欲的に取り組んでもらえます。
話がそれましたが、体調が変わりない様子であれば、リハビリを開始します。
在宅への訪問なので、実践的な練習がメインとなります。
利用者様の希望に沿い、ケアマネージャーが立てたプランに合わせて、
- 移乗動作練習
- 歩行練習
- 入浴動作練習 など
さまざまなリハビリを行います。
訪問看護ステーションで仕事する以上、理学療法士や作業療法士の資格はあまり関係なく、歩行も呼吸訓練の頻度も多いです。
屋外歩行なども行うので、夏は、帽子&日焼け止めを塗って準備しておくことも必須です。
また、単発的な練習や指導の希望もあります。
例えば、
- 洗面所での体の使い方
- ベッドでのリモコンの使い方 など
質問があるときもあります。
リハビリ開始時に話があれば良いのですが、終わりがけに「そういえば質問があったんだ。」と言われることも。



早く言ってよ!
とは思いますが、次回が3日後や1週間後なので、なるべくその日にアドバイスしたり、家具の配置を変えるなど、対応するようにしています。
そのため、リハビリ開始前のおしゃべりはやはり重要です。
最近、依頼が多いのは、リハビリへの意欲がなく、デイサービスやデイケアへ行きたがらない男性。



とりあえず、訪問でのリハビリにて、個別に運動をし、デイサービスやデイケアなどに繋げてほしいそうです。
訪問看護の作業療法士の作成書類
書類の作成は、基本的に5種類です。
- フェイスシート(訪問開始時に作成するため、Ⅰ回作成すれば終了)
- 計画書(訪問開始時と月末)
- 報告書(月末)
- サマリー(入院やレスパイト)
- 担当者会議の報告書(担当者会議開催後)
基本的に計画的に作成していくことで、残業することなく、書類は作成できます。
しかし、急な新規依頼により、ケアマネージャーより情報を頂き、、まもなく訪問開始となる場合は、フェイスシートと計画書を早く作成しなければならないので、残業することがあります。
また、急な入院やレスパイト時も同様に、残業が必要な時があります。
訪問看護ステーションで仕事をする魅力


実践的な練習ができる
訪問看護ステーションで仕事をする最大の魅力は、実際に生活している空間であるため、実践的に練習ができることです。
いつも使っている物や家具で練習するので、練習した物より実物は長さや高さが異なり、できなかったという誤差を減らせます。



実際に、ここで一度はできたんだから、またきっとできる!という自信にもつながります。
その場で、家具の調整や物の検討などの環境調整ができるのも、大きなメリットです。
家族への介助方法の指導もその場でパッとできます。
しかし、環境調整をして様子を見るとなった場合、作業療法士が退室後、その環境の中で生活していくことになります。
もし、生活の中で使用して上手くいかなかった場合、
- 次の訪問日まではそのまま
- ご家族の手を借り、元の位置に直してもらう
必要があります。
そのため、訪問時の環境調整は、しっかりと検討する必要があります。
利用者様の本性を知り、生活動作を定着化できる
訪問でのリハビリは、自分の家で運動するため、リラックスしている方が多いです。
その分、嫌なことはハッキリと断られることも多く、受け入れられた動作方法などは定着化します。
訪問時に入院時期の話をされる方が多いですが
- 入院時は自宅に早く退院したいから、とりあえず練習してきたけど、実際この動作はできない
- この福祉用具は使えない
などと、話す方が意外といます。



病院を経験してきた私にとっては、結構ショックな話でした
しかし、本人の実生活や性格を見ると、確かに難しい内容のものもありました。
やはり、リラックスした状況で利用者様の性格や行動などの本性を把握して、リハビリを行わないと、なかなか行動の変化は伴わないものだなと痛感しました。
そう思うと、逆に病院では「退院までの限られた期間だから頑張ろう」と緊張感を持って、機能回復や筋力トレーニングなどに対して、積極的に取り組めるのかも知れない。



それぞれに良さがあるな、と痛感しました。
看護師とともに働けるという強み
同じ訪問でも訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションがあります。
それぞれ訪問すれば、リハビリの内容に大差はないものの、やはり同じ事業所に看護師がいるということはかなり心強いです。
訪問は、基本的に1人でするもの。
そのため、急変時はもちろんのこと、皮膚状態などさっと相談できるスタッフがいるということは、とてもスムーズな訪問へとつながります。
体調面で心配な時は、こまめに携帯で写真を撮り、LINEしています。
だいたい訪問時間内に、対応を聞けるので、安心して退室できます。



これは、携帯電話が進化した現代の訪問看護ステーション特有の強みかも知れません。
訪問時のポイント


訪問時のポイントは、「ひとの生活空間に入る」ということです。
そのため、訪問時の礼儀を大切にしたり、家のものは利用者様やご家族の承諾を得て触ることが大切です。
訪問時の礼儀
- 玄関では正面向きで上がり、靴を揃え直す
- 挨拶をしっかりする
- 洗面所を使用したら、洗面台に飛び散った水滴を拭く
- 自分の持ち物をできるだけまとめておく
- 和室では畳の縁(へり)をなるべく踏まない
一般的な礼儀ですが、意外と気にしないで訪問する職員も多いようです。
利用者様やご家族が特に気にしないという方もいますが、見ている利用者様やご家族は見ています。



この礼儀を大切にすることで、信頼感が増すことも多いです。
逆に、どんなに丁寧なリハビリをしていても、上記のどれかができていないことで、信頼関係が崩れることもあるので、要注意です。
家の中のものは、利用者様やご家族の許可を必ず得て触る
礼儀の一つになりますが、家の中の物はたとえリハビリで毎回必要な物でも、一声かけましょう。
また、一度使用したら、必ず元の位置にその家のルールに沿って、綺麗にしまうことが大切です。
以前、同僚が訪問先で、タオルのたたみ方が汚いとクレームがきました。



たたみ方がその家のたたみ方と異なったことや、シワを残して棚に戻してしまったようです。
その家のルールに従えないと、信頼関係が崩れやすくなります。
家のルールや利用者様やご家族の性格を早く把握することで、作業療法士がその家に馴染む時間は、格段に早くなります。
信頼関係を築くことで、ちょっと気持ちが乗らないリハビリでも取り組んでもらいやすくなります。
環境調整などで家具や物を動かす際も、利用者様やご家族に十分に説明した上で行うようにしましょう。
まとめ
私は、訪問看護ステーションで楽しく仕事ができています。
訪問看護ステーションの魅力は、個人によってそれぞれ異なると思いますが、私は、下記にある通りだと考えます。
- 実践的な練習ができる
- 利用者様の本性を知り、生活動作を定着化できる
- 看護師とともに働けるという強み
そのほかに、職員にとっては自由に行動できるということも。



少し買い物できることも嬉しい!
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
転職について調べたい方は、次の記事もどうぞ!


コメント